10月はピンクリボン月間|なぜ10月?乳がん検診は毎年?2年に1回?

10月に入り、街なかやテレビでピンク色のリボンを見かける機会が増えてきました。10月は「ピンクリボン月間」です。乳がんについて知り、検診を受けるきっかけにしてもらうための1か月です。

今回は、ピンクリボン月間の由来や「なぜ10月なのか」という豆知識に加えて、外来でとても多くいただく「乳がん検診は毎年受けるべき?2年に1回でいいの?」という疑問に、乳腺専門医の立場からお答えします。

ピンクリボン月間とは?なぜ10月なの?

ピンクリボンは、乳がんの正しい知識を広め、早期発見・早期治療の大切さを伝えるための世界共通のシンボルです。毎年10月は、世界各地でこの啓発活動が集中して行われる「ピンクリボン月間(乳がん啓発月間)」とされています。

始まりはアメリカです。1985年、アメリカで10月が乳がんの啓発月間として定められました。その後1990年代の初めに、乳がん患者支援団体のチャリティーイベントや、化粧品会社と女性誌のキャンペーンでピンク色のリボンが配られたことをきっかけに、「乳がん=ピンクリボン」というイメージが世界中に広がりました。日本でも2000年代に入ってから各地で活動が本格化し、今ではすっかりおなじみになっています。

では、なぜ10月なのでしょうか。実は、10月であることに医学的な理由や特別な記念日があるわけではありません。アメリカで啓発月間が10月に始まり、それがそのまま世界に広がった、というのが実際のところです。ちょっとした豆知識として、ご家族やお友だちとの話のタネにしていただければと思います。

この時期には、各地の名所がピンク色にライトアップされることもあります。ピンク色の明かりを見かけたら、「そういえば自分の検診はいつだったかな」と思い出すきっかけにしてみてください。

なお、乳がんは男性にも起こる病気です。数は多くありませんが、胸のしこりなどに気づいたら、男性の方も遠慮なく乳腺外科にご相談ください。

マンモグラフィ検診はなぜ大切なのか

乳がんは、日本人女性がかかるがんの中で最も多く、およそ9人に1人が一生のうちに乳がんと診断されるといわれています。特に40代から50代にかけて、働き盛り・子育て世代の女性に多いのが特徴です。

一方で、乳がんは早期に見つけて治療すれば、治る可能性が高いがんでもあります。そして、症状が出る前の小さな段階で見つけるための方法が検診です。40歳以上の方を対象としたマンモグラフィ検診には、乳がんで亡くなる方を減らす効果が確認されており、国の指針でも推奨されています。

ところが、日本の乳がん検診の受診率は2022年時点で47.4%にとどまっています。つまり、対象となる女性のおよそ2人に1人は、検診を受けていないということになります。国は受診率60%を目標に掲げていますが、まだ道半ばです。

検診で何をするのか、マンモグラフィとエコーの違いについては、前回の記事「乳がん検診って何をするの?始める年齢とマンモグラフィ・エコーの違いをわかりやすく解説」で詳しくご紹介しています。あわせてご覧ください。

乳がん検診は毎年?それとも2年に1回でいいの?

外来で本当によく聞かれる質問です。結論から言うと、「多くの方は2年に1回で大丈夫。ただし、毎年受けたほうがよい方もいる」というのが答えになります。

国の指針は「40歳以上、2年に1回」

市町村が行う乳がん検診(対策型検診)は、40歳以上の方を対象に2年に1回のマンモグラフィ検診が基本です。これは、2年に1回の間隔でも死亡率を下げる効果が十分に得られることが、これまでの研究で示されているためです。検診には、本当は問題がないのに「要精密検査」となって不安な思いをしたり、追加の検査を受けたりするといった負担もあります。効果と負担のバランスを考えたうえで、「2年に1回」が多くの方にとっての目安とされています。

毎年の検診を考えたほうがよい方

一方で、次のような方は、毎年の検診や、マンモグラフィに乳腺エコーを組み合わせた検診をおすすめすることがあります。

  • 高濃度乳房(デンスブレスト)と言われた方 乳腺の密度が高いと、マンモグラフィでは乳腺が白く写り、しこりが隠れて見えにくくなることがあります。日本人女性、特に40代の方に多いタイプです。エコーを組み合わせることで、見落としを減らすことが期待できます。
  • ご家族に乳がんや卵巣がんにかかった方がいる方 血縁者に乳がん・卵巣がんの方が多い場合は、遺伝的になりやすい体質が関係していることもあります。検診の方法や間隔について、一度専門医にご相談ください。
  • 過去に乳がんや乳腺の病気を指摘されたことがある方 経過観察の方法は人それぞれですので、主治医の指示に沿って受診してください。

「次の検診まで待つ」のは症状がない場合だけ

とても大切なことなので強調させてください。2年に1回という間隔は、あくまで症状がない方のための目安です。しこりに触れる、乳頭から分泌物が出る、乳房のひきつれやくぼみがあるなど、気になる変化があるときは、次の検診を待たずにすぐに乳腺外科を受診してください。前回の検診で「異常なし」だった場合でも同じです。

ご自身にとって最適な検診の間隔や方法は、年齢や乳腺の状態、ご家族の病歴などによって変わります。「自分は毎年のほうがいいのかな?」と迷われたら、ぜひ乳腺の専門医にご相談ください。

検診と検診の間にできること「ブレスト・アウェアネス」

「2年に1回だと、その間が心配」という方に知っていただきたいのが、「ブレスト・アウェアネス」という考え方です。日本語にすると「乳房を意識する生活習慣」という意味で、次の4つのポイントからなります。

  1. 自分の乳房の状態を知る
  2. 乳房の変化に気をつける
  3. 変化に気づいたら、すぐに医師に相談する
  4. 40歳になったら、2年に1回乳がん検診を受ける

以前は「月に1回、決まった手順でしこりを探す自己触診」がよく勧められていましたが、今はもっと気軽に、日常の中で自分の乳房に関心を持つことが大切だと考えられています。お風呂や着替えのときに、鏡で形を見たり、手で触れたりしてみてください。「いつもの自分の乳房」を知っておくことで、ちょっとした変化に気づきやすくなります。

この10月、検診を受けるきっかけに

「平日は仕事や家事、子育てで忙しくて検診に行けない」という方に向けて、10月の第3日曜日には「ジャパン・マンモグラフィ・サンデー(J.M.S)」という取り組みが行われています。全国の参加医療機関で、日曜日に乳がん検診を受けられる日です。今年は**2026年10月18日(日)**です。参加医療機関はJ.M.Sの特設サイトで確認できます。

また、明石市にお住まいの方は、市の乳がん検診を利用することもできます。対象年齢や費用、申込方法は、明石市の案内をご確認ください。

当院は2027年3月に明石駅前で開院予定です。今年はぜひ、お住まいの自治体の検診やJ.M.Sを活用して、検診を受けてください。来春からは、明石駅前で皆さまの乳房の健康をサポートしてまいります。

まとめ

  • 10月は「ピンクリボン月間」。1985年にアメリカで始まり、世界に広がりました
  • 10月であることに特別な理由はなく、アメリカで始まった月がそのまま広まったものです
  • 日本の乳がん検診の受診率は約半分。まだ受けていない方は、この10月をきっかけに
  • 検診は「40歳以上、2年に1回」が基本。ただし、高濃度乳房の方やご家族に乳がんの方がいる方は、毎年の検診やエコーの併用も検討を
  • 症状があるときは、次の検診を待たずにすぐ受診を

ピンク色のリボンやライトアップを見かけたら、ぜひご自身の検診のことを思い出してみてください。その小さなきっかけが、早期発見につながります。